消える血糖記録を残す|Guruko · 第05回 / 全10回

食事・インスリン・出来事を、後から読める粒度で残す

執筆 Remosia Co., Ltd 公開 2026-08-01 読了 約5分

この記事の要点

  • 記録は時刻・内容・量の目安・体調の4項目に絞れば、1回あたり10秒で書ける。
  • 内容は後から検索する言葉になるので、自分がまた使う呼び方で書き、検索しそうな語は略さない。
  • 血糖の履歴は15分ごとに1点。記録の時刻をそれより細かく書いても、対応する血糖の点は存在しない。

血糖のグラフを見て「なぜこの日はこうなったのか」を確かめたい方へ向けた記事です。

前回は、貯めた値を4つの列で手元に書き出す形を扱いました。その4列目が「出来事」です。値だけが並んでいても、あとから理由は復元できません。

たとえば、こんな場面です。

同じ店の同じ定食を、週をまたいで2回食べる。グラフを見比べると、片方はゆるやかに上がって下がり、もう片方は倍近くまで跳ね上がっている。

写真は撮ってあった。ただ、写真から分かるのは「何を食べたか」だけ。何時に食べ始めたのか、どのくらいの量だったのか、その日は寝不足だったのか。どれも思い出せない。

違いの理由を確かめる材料が、手元にない。

値の列に、あとから読める文脈が添えられていく様子

記録する項目を4つに絞れば続きます。 時刻・内容・量の目安・体調です。写真は補助であって、記録ではありません。

読み終えると、次の1回から「あとで読める記録」を残せるようになります。書く時間は1回あたり10秒ほどです。

値だけでは、あとから再現できない

血糖の形は、食べたものだけで決まりません。同じ食事でも、時間帯、体調、直前に歩いたかどうか、前の食事から何時間空いたかで変わります。

数値の列だけを見返しても、その日に何があったかは復元できません。あとで読むには、値に文脈を添えておく必要があります。

とはいえ、全部を書こうとすると3日で終わります。だから「何を書かないか」を先に決めます。

4つの項目に絞る

時刻・内容・量の目安・体調の4項目と、書く量を減らす略号の考え方

時刻 … 食べ始めた時刻です。「12:30」と書くだけ。写真の撮影時刻は食べ終わりのことが多いので、あてになりません。

内容 … 「ラーメン」「幕の内」「コンビニのパスタ」程度で十分です。細かい材料は要りません。あとで検索する言葉になるので、自分がまた使いそうな呼び方で書きます。

量の目安 … 「普通」「多め」「半分残した」で構いません。グラム数を測る必要はありません。同じメニューを比べるときに効きます。

体調・出来事 … 空欄が基本です。書くのは「寝不足」「歩いた」「風邪気味」のように、いつもと違ったときだけ。毎回書くものではありません。

この4つなら、食事のあとに10秒で書けます。続けるために、それ以上増やさないでください。

書く量を減らす工夫

よく食べるものは略号を決めます。 「ラ」でラーメン、「幕」で幕の内。自分だけが分かれば十分です。ただし、あとで探すときに困るので、検索する可能性がある言葉は略さないでおきます。

全部の食事を書く必要はありません。 気になった日、いつもと違うことをした日だけで構いません。毎日3食を1年書くより、月に10回でも3年続くほうが役に立ちます。

1週間続けてから項目を見直します。 使わなかった項目は消す、足りなかったものは足す。最初の設計にこだわらないでください。

記録をどこに書くか

紙のノートでも、メモアプリでも、表計算の「出来事」列でも構いません。血糖の値と並べて見られるかどうかで、選択肢が分かれます。

  • あとで自分の目で照合できればいいなら、どこでも構いません。時刻さえ書いてあれば、グラフと突き合わせられます。
  • グラフの上に重ねて見たいなら、その機能を持つ道具が要ります。

後者を選ぶ場合、選択肢の1つが、記録を血糖のグラフに重ねて表示するアプリです。私たちが作っている Guruko では、糖質・インスリン・メモをグラフ上のマークとして置けます。

血糖のグラフに、糖質とインスリンの記録がマークとして重なって表示されている画面

画面の数値は説明用のサンプルです。実在の測定値ではありません。

食後の山がどこから始まったか、注射がその何分前だったかを、目盛を数えずに見られます。

ただし、記録は手で入力するものです。 自動では増えません。書く手間そのものは、どの道具を使っても変わりません。

もう1つ、知っておくとよい制限があります。血糖の履歴は15分ごとに1点です。 食べた直後の細かい動きを追うことはできません。記録の時刻も、それより細かく書く意味はありません。「12:30」で十分で、「12:33」と書いても、対応する血糖の点は存在しません。

この方法が向かない場合

記録を続ける動機がないなら、無理に始めないでください。 血糖の値そのものは、記録しなくても貯まります。この記事の話は「あとで理由を確かめたい人」向けです。

紙のノートで足りることもあります。 見返す頻度が低いなら、そのほうが早いです。

そして、この記事は記録の粒度だけを扱っています。 インスリンの量をどうするか、何をどれだけ食べるかの判断は、医療者の指示によるものです。記録は、その相談を具体的にするための材料です。「この日はこう書いてあって、グラフはこうでした」と示せることに意味があります。

センサーが測っているのは間質液という組織の水分で、指先で測る血糖値とは5〜10分ほどのずれが生じることがあります(アボットの説明)。記録の時刻とグラフの動きが少しずれて見えるのは、このためでもあります。体調と表示値が合わないときは、記録より先に自己測定と医療者の指示に従ってください。

次の食事、1回だけ書く

今日から全部の食事を書こうとしないでください。

次の1回だけ、4項目で書いてみてください。時刻、内容、量の目安、そして何かいつもと違うことがあれば一言。それで今日は終わりです。

数時間後にグラフを見れば、その記録が役に立つかどうかが分かります。役に立たなければ、項目を変えればいい。1回書けば、その判断ができます。

Guruko について

Guruko は、FreeStyle Libre の血糖を LibreLinkUp 経由で受け取り、90日の上限なく端末内に蓄え続ける iPhone / Apple Watch 向けのビューアです。長期の蓄積・グラフ・統計(TIR / GMI / CV / SD)・AGP・時間検索・CSV 書き出しは無料で使えます。

Guruko は医療機器ではありません。本記事は記録の残し方と読み方を扱うもので、治療の判断には使えません。センサーの値と体調が合わないとき、低血糖が疑われるときは、公式の機器と医療者の指示に従ってください。FreeStyle Libre / LibreLinkUp は Abbott Diabetes Care の商標で、Guruko は Abbott の公式製品ではありません。