消える血糖記録を残す|Guruko · 第06回 / 全10回

旅行・時差・機種変更で記録を壊さない

執筆 Remosia Co., Ltd 公開 2026-08-01 読了 約5分

この記事の要点

  • 同じ瞬間でも、どちらの時計で読むかで時刻が変わる。人が思い出すのは「そのとき現地で何時だったか」のほう。
  • 移動中の記録にはタイムゾーンを併記し、移動と機種変更の前後で1回ずつ書き出す。
  • 書き出したファイルは端末以外の場所へ置く。端末の中だけにあるものは、端末と一緒に失われる。

旅行や出張で時差をまたぐ方、機種変更を控えている方へ向けた記事です。

前回は、値の背景を書き残す粒度を扱いました。記録は育つほど、失ったときの損失が大きくなります。そして記録は、消えるだけでなく「読めなくなる」ことがあります。

たとえば、こんな場面です。

出張から帰った週のグラフを見て、少し混乱する。

現地で食べた夕食のあとに上がった山が、朝の位置に並んでいる。逆に、機内で寝ていた時間帯に食後らしい形が出ている。記憶と画面が合わない。

データが壊れたのかと思うかもしれませんが、そうではありません。同じ瞬間を、どちらの時計で読むかの違いです。

移動しても、記録の並びが体験のまま保たれている様子

結論から言うと、時刻は「測定したときに、その場所で何時だったか」で並べるのが実感に合います。そして記録を失わない手当ては、書き出し1回で済みます。

読み終えると、移動や機種変更の前にやることが1つ決まります。作業は5分です。

同じ瞬間に、2つの読み方がある

血糖が測られた瞬間そのものは、世界のどこにいても1つです。ただ、それを何時と呼ぶかは場所で変わります。

同じ1つの瞬間が、現地の時計と移動後の時計で違う時刻として読まれることを示す図

日本の朝8時に測った値は、ハワイでは前日の午後1時です。同じ瞬間ですが、時計の読み方が違います。

ここで問題になるのは、人が思い出すのは「そのとき現地で何時だったか」のほうだという点です。現地の夜7時に食べた夕食は、記憶の中では夜7時です。それを移動後の時計で読み直して「朝2時」と並べられると、自分の記憶と照合できなくなります。

だから、記録には「そのとき現地で何時だったか」を残しておく必要があります。時刻だけを書いて、どこの時刻かを書かないと、後から復元できません。

移動と機種変更に備える3つのこと

道具を問わず、次の3つで守れます。

1. 記録にタイムゾーンを併記する。 手で記録している場合、移動中は日時の欄に「7/14 19:00(現地)」のように書き添えます。旅行中だけで構いません。帰ってから見返すときに、これがあるかないかで意味が変わります。

2. 移動の前後で1回ずつ書き出す。 出発前と帰宅後に、そのときまでの記録を書き出しておきます。旅行中に端末をなくしたり、設定を触って表示が変わったりしても、書き出したファイルは影響を受けません。

3. 書き出したものを端末以外の場所へ置く。 クラウドドライブでもパソコンでも構いません。端末の中だけにあるものは、端末と一緒に失われます。機種変更の前には必ず1回書き出してください。

3つとも、5分あればできます。旅行のたび、機種変更のたびに繰り返すだけです。

表示の並びをどう扱うか

移動をまたいだ記録の扱いは、道具によって違います。

  • 手で記録しているなら、タイムゾーンを併記しておけば十分です。並べ直しは自分の頭の中でできます。
  • 記録が多くなってきたなら、どちらの時刻で並べるかを道具が決めることになります。ここは選ぶ基準になります。

私たちが作っている Guruko は、内部では世界共通の絶対時刻で整列し、表示は測定時の現地時刻にしています。東京で取った朝8時の値は、ロサンゼルスへ移動しても朝8時の位置に出ます。旅行中の記憶と、あとで見るグラフが一致します。

ただし限界があります。あとから「移動後の時刻で並べ直す」表示切替はありません。 現地時刻で固定です。時差を計算し直して見たい場合は、この形は合いません。

書き出しは設定から行えます。

設定画面の「データ」セクションにある CSV エクスポートの導線

画面の数値は説明用のサンプルです。実在の測定値ではありません。

出てくるファイルには、測定時の現地時刻が入ります。表計算で開けば、そのまま並びます。

この方法が向かない場合

国内だけで使っていて、機種変更の予定もないなら、この記事の手順は要りません。 時差をまたがなければ、2つの読み方が食い違うことはありません。

書き出せるのは血糖の値だけです。 食事やインスリンの記録はファイルに含まれません(前回の記事で扱った4列目は、やはり自分で管理することになります)。

iCloud の同期設定を変えた場合、反映は次回の起動時です。 変更した直後に切り替わらなくても、故障ではありません。

そして、この記事は記録の持ち出し方だけを扱っています。 数値の解釈と治療の判断は医療者によるものです。旅行中の血糖の乱れが気になる場合は、記録を持って相談してください。手元にファイルがあれば、その相談は具体的になります。

今日、1回だけ書き出す

旅行の予定がなくても構いません。

いま手元にある記録を1回書き出して、端末以外の場所へ置いてください。それで今日は終わりです。

一度やっておけば、次に必要になったとき(旅行の前、機種変更の前)に手順を思い出す必要がありません。同じことを繰り返すだけです。

Guruko について

Guruko は、FreeStyle Libre の血糖を LibreLinkUp 経由で受け取り、90日の上限なく端末内に蓄え続ける iPhone / Apple Watch 向けのビューアです。長期の蓄積・グラフ・統計(TIR / GMI / CV / SD)・AGP・時間検索・CSV 書き出しは無料で使えます。

Guruko は医療機器ではありません。本記事は記録の残し方と読み方を扱うもので、治療の判断には使えません。センサーの値と体調が合わないとき、低血糖が疑われるときは、公式の機器と医療者の指示に従ってください。FreeStyle Libre / LibreLinkUp は Abbott Diabetes Care の商標で、Guruko は Abbott の公式製品ではありません。