消える血糖記録を残す|Guruko · 第03回 / 全10回
12時間ルール — 一度あいた穴は二度と埋まらない
この記事の要点
- 共有経由で受け取れるのは、いつでも「今から遡って12時間ぶん」だけ。
- 12時間を超えて取りに行かなかった期間は、後からどうやっても埋まらない。
- バックグラウンドの自動取得は保証にならない。半日に1回開く仕組みを自分で作る。
FreeStyle Libre の血糖を、公式アプリの外へ受け取って貯めている方へ向けた記事です。
前回は、自分宛に共有を送ると、公式アプリの外で自分の血糖を受け取れるようになることを扱いました。ところが、受け取れる状態にしただけでは記録は貯まりません。しかも、貯めそこねた期間は後から取り返せません。
たとえば、こんな場面です。
出張から戻ってアプリを開くと、グラフの真ん中がごっそり抜けている。3日ぶんだ。
センサーは動いていたし、公式アプリには値が出ている。それなのに、貯めていたはずの記録にだけ空白がある。あとで開けば埋まるだろうと思って数日待っても、空白のまま。

結論から言うと、受け取れるのはいつでも「直近12時間ぶん」だけです。それを超えて取りに行かなかった期間は、後からどうやっても埋まりません。
この記事を読み終えると、穴を作らないための仕組みを1つ持てます。やることは「半日に1回開く」だけで、今日5分で設定できます。
12時間の窓は、いつも今から後ろへ動いている
共有の仕組みが渡してくれるのは、「今から遡って12時間ぶん」です。この窓は時間とともに前へ動き続けます。

朝8時に開けば、前日の20時から今までが手に入ります。次に開くのが同じ日の夜8時なら、朝8時から夜8時までが手に入って、つながります。
ところが次に開くのが3日後だと、その時点の窓は「3日後の朝から遡って12時間」です。抜けた2日半は窓の外に出てしまっていて、もう渡してもらえません。元のデータが消えたわけではなく、渡す仕組みがそこまで遡らないということです。
ここで期待したくなるのが自動取得ですが、これは保証になりません。アプリを閉じている間の取得は iOS が端末の使い方や充電状態を見て判断していて、開かない期間が続けば0回のこともあります。あくまで補助と考えて、自分で開く前提で組むのが確実です。
半日に1回開く仕組みを作る
道具は要りません。次の3つだけです。
1. 生活の動線に結びつける。 「時間があるときに開く」は続きません。起床後にアプリを開く、就寝前に開く、のどちらかに決めてください。血糖を見る習慣がすでにある人は、そのタイミングに重ねるだけで済みます。
2. 繰り返しのリマインダーを1つ作る。 毎日同じ時刻に1回。2回に増やす必要はありません。12時間より短い間隔で開いていれば、記録は途切れません。
3. 開けない期間が読めるときは、その前後に必ず開く。 旅行、入院、検査、充電できない環境。予定が分かっているなら、直前と直後に開くだけで穴を最小にできます。長時間の移動なら、出発前と到着後の2回です。
この3つは、どの道具を使っていても同じです。手作業で記録している人にも、専用のアプリを使っている人にも、12時間という制限は共通してかかります。
なお、欠測ができたからといって、測定や確認の回数を増やす必要はありません。 これはデータの連続性の話であって、体調管理の話ではありません。センサーを余分にスキャンしても、貯まる記録が増えるわけではないからです。
続けるかどうかで、選ぶものが変わる
- 開く習慣を作れそうなら、あとは道具が受け取ってくれます。手作業でも自動でも構いません。
- 端末を複数持っているなら、片方が受け取れば足ります。同じアカウントで同期する仕組みがあれば、互いに補い合います。
- 開く習慣を作れないなら、貯める仕組み自体が向いていません。90日以内の振り返りで足りるなら、公式アプリのレポートのほうが確実です。あちらは自分で取りに行かなくても記録されています。
開いた瞬間にまとめて受け取る形
上の条件に当てはまるとき、選択肢の1つが、開いた瞬間に直近12時間ぶんをまとめて取り込み、端末内に貯め続けるアプリです。私たちが作っている Guruko はその形で、複数の端末で使っていれば、片方が受け取ったぶんを iCloud 経由で互いに補完します。
ただし、開かなければ貯まらないという点は同じです。仕組みが自動で全部やってくれるわけではありません。
実際に欠測ができると、こう見えます。

画面の数値は説明用のサンプルです。実在の測定値ではありません。
灰色の帯が、取りに行けなかった期間です。前後の記録は残っていて、そこだけが抜けています。穴があいても、それまでに貯まった記録が消えることはありません。 抜けたぶんだけが戻らない、という形です。
この方法が向かない場合
90日以内の振り返りで足りるなら、公式アプリのレポートのほうが向いています。 自分で取りに行かなくても記録されるので、12時間ルールを気にする必要がありません。
センサーを交換した直後の空白は、この記事の話とは別です。 新しいセンサーは装着してから使えるようになるまで1時間ほどかかり、その間はどの方法でもデータがありません。これは失敗ではなく、正常な動きです。
そして、欠測を治療の問題として受け取らないでください。 記録に穴があいても、その期間の血糖が悪かったわけでも、健康に影響が出るわけでもありません。あくまで後から振り返れる範囲が狭まるだけです。センサーの値と体調が合わないとき、低血糖が疑われるときは、記録の話より先に、公式の機器と医療者の指示に従ってください。
なお、センサーが測っているのは間質液という組織の水分で、指先で測る血糖値とは5〜10分ほどのずれが生じることがあります(アボットの説明)。急に変動しているときほど差が出やすいので、判断が要る場面では表示値だけに頼らないでください。
今日、リマインダーを1件つくる
やることは1つです。
毎日同じ時刻に「アプリを開く」リマインダーを1件設定してください。時刻は起床後でも就寝前でも構いません。それで今日は終わりです。
1日でも実行できれば、その日は穴があきません。それが12時間ルールへの唯一の対処です。
Guruko について
Guruko は、FreeStyle Libre の血糖を LibreLinkUp 経由で受け取り、90日の上限なく端末内に蓄え続ける iPhone / Apple Watch 向けのビューアです。長期の蓄積・グラフ・統計(TIR / GMI / CV / SD)・AGP・時間検索・CSV 書き出しは無料で使えます。
Guruko は医療機器ではありません。本記事は記録の残し方と読み方を扱うもので、治療の判断には使えません。センサーの値と体調が合わないとき、低血糖が疑われるときは、公式の機器と医療者の指示に従ってください。FreeStyle Libre / LibreLinkUp は Abbott Diabetes Care の商標で、Guruko は Abbott の公式製品ではありません。